ひと刺しひと刺し心を込めて…手刺繍で描く
「歌川広重 東海道五十三次より
庄野」
一本の糸そのものは一色ですが、絵画のような何色もの色のまざりや重なりが観られます。波や山、木々、崖、草陰、陽光、ひとつの草鞋と蓑、人の足、人の肌…が、とても小さな針と細かい糸を想像させ、繊細さを覚えました。
私は、この作品を編み出す彼女のする息の深さと強さを、その小さな身体から感じ、目の前の彼女を愛しく想い人の温度を感じました。彼女の人生はそれは愛しいものであろうと自分をかえりみました。そして、「人間は本当に大きなことを成しうる」という偉大な事を教わった気がしました。
(2003年5月 作家・詩人 篠崎美江子)
追記)
2011年3月11日の震災より、私たちが学ぶことは、「日本の文化」だと思います。もし日本の地形がどんどんと変化してしまうとすれば、日本の国は、どこに呑み込まれてしまうのでしょう。もし私が世界のどこかに行かねばならぬ時、日本人として、日本の何を持ってその地に向かう事ができるでしょう。その地で日本人として迎えて頂き生きていくために、郷さんの作品から、これからの生き方を模索する想いです。
(2011年7月4日 自宅の部屋にて 作家・詩人 篠崎美江子)